福岡家庭裁判所小倉支部 昭和46年(少ハ)10号 決定 1971年8月04日
本人 M・K(昭二五・一〇・二生)
主文
上記本人を昭和四六年八月一四日から昭和四七年二月一三日まで中等少年院に継続して収容する。
理由
(中津少年学院長の申請要旨)
本人は昭和四五年八月一四日福岡家庭裁判所小倉支部において中等少年院送致の決定を受け、同月一八日から中津少年学院に収容されている者で、昭和四六年八月一三日少年院法一一条一項但書により期間満了となるが、以下のとおり収容継続の必要がある。即ち本人は当学院に収容されて以来、逃走企図二回、鶏姦、額毛抜、額そり込みなどの反則事故を繰り返し、更生意欲に欠けていたため、その犯罪的傾向がまだ矯正されていない。また上記のような反則事故のため本人の進級も遅れ、当学院における処遇段階に従えば、昭和四六年六月一日にやつと一級の下(D)に進級したばかりで、処遇の最高段階である一級の上に進級するには期間満了後なお三箇月の期間が必要である。そこで当学院では本人の収容を継続して犯罪的傾向を更にできるだけ矯正し、処遇の最高段階に進級させたうえ退院させることにしたいので、少年院法一一条二項により本人の収容継続を申請する。
(当裁判所の判断)
調査審判の結果によれば、(1)本人の処遇に関しては上記申請要旨のとおりであるので、期間満了をもつて退院させるのは不適当であること、(2)しかし本人自身も最近になつてやつと上記学院における従来の行動を反省し更生意欲をもちはじめたようであるから、上記学院の予定する期間更に収容を継続すれば、本人が自覚してきていることとあいまつて、一応の矯正効果をあげることができるであろうこと、(3)なお本人は精神薄弱であつて自立的更生を多く期待できず、また保護者の保護能力も充分とはいえないのであるが、幸い前件の担当保護司が本人の指導に熱意をもち、本人が上記学院に収容されている間も再三手紙を出すなど本人と接触を保つているので、退院後もなおしばらく本人を指導してもらえるならば本人の更生上非常に有益であること、以上のとおり認められる。
そこで当裁判所は上記学院における期間満了後の矯正教育期間(三箇月)と帰住後における保護観察期間(三箇月)を考慮に入れ、本人を期間満了の翌日である昭和四六年八月一四日から昭和四七年二月一三日まで中等少年院に継続して収容するのが相当であると考え、少年院法一一条四項二項により主文のとおり決定する。
(裁判官 永松昭次郎)